
blogブログ

「一番上の断熱等級7にすれば夏も冬も快適」
「数値が高いほど、いい家になる」
そういうふうに思う方は多いのではないでしょうか。
もちろん、断熱等級は家の性能を判断する上で大切な指標です。
しかし、断熱等級だけを見て家づくりを進めると、思わぬ落とし穴にはまってしまうことがあります。
今回は断熱等級5〜7の詳細やなぜ断熱だけではダメなのかをわかりやすく解説しながら、本当に快適な家とは何かを考えてみたいと思います。
目次
断熱等級とは?2022年に変わった新基準
断熱等級とは、住宅の断熱性能を数値で表したものです。
以前は1〜4の等級が存在し、等級4が最も高性能とされてきました。
しかし2022年4月により高い断熱性能を求める流れの中で、等級5、6、7が新たに追加されました。
かつては最高と言われていた等級4が、今では最低基準になったということ。
これから先、2030年をめどに断熱等級5が最低基準になるとも言われています。
つまり、これから家を建てる人にとっては、少なくとも等級5以上を目指すことが前提となってきています。
より高い等級=より快適な家?
より快適かとなるとその答えは「はい」であり、「いいえ」とも言えます。
確かに断熱性能が高いほど、室内の温度は外気に影響されにくくなります。
しかしそれと同時に、気密を考えなければ、その性能を十分に活かすことができないのです。
断熱と気密はセットで考えるべき理由
ここで重要なのが気密性能です。
いくら断熱材をうめても、家のあちこちに隙間が空いていたらどうなるでしょうか?
魔法瓶に熱いお湯を入れても、フタが開いていたらすぐに冷めてしまいますよね。
住宅も同じです。
断熱材で熱を逃さないようにしても、気密が悪く隙間があれば室内の空気は外に漏れ、外気も入ってきてしまいます。
気密性能を表す指標として「C値」というものがあります。
これは、家全体でどれくらいの隙間があるかを数値化したもので、1.0以下が望ましいとされています。

なのになぜ気密はあまり語られないのか?
不思議なことにC値、気密に関して法的な基準はありません。
つまり義務はないのです。
理由の一つは気密施工には高度な技術と丁寧な仕事が求められ、すべての住宅会社がそれに対応できるとは限りません。
実際、対応しきれていないハウスメーカーもあります。
例えば、鉄骨造の住宅では構造上どうしても隙間ができやすく、高気密を実現しづらい傾向にあります。
反対に木造住宅では比較的に気密を叶えやすく、特にパネル工法や基礎断熱、面材、気密テープを適切に施工すれば、良好なC値を取得することができます。
C値を知るには気密測定
家のC値を知るには気密測定を行う必要があります。
これは住宅会社によって異なりますが、断熱や気密の施工が終わった段階と全ての施工が終わった段階で実施されるものです。
専用の機械で家全体の隙間面積を測定します。
ただし、この測定には費用がかかるため、住宅会社によっては行なっていない場合も多いので
自分の家の性能をきちんと把握したいという方は、気密測定をしているか確認することをおすすめします。

結局、断熱等級はいくつを目指せばいい?
今の基準であれば「断熱等級5以上」は必要といえます。
等級5ちょうどZEHレベルに相当し、最低限の省エネ住宅のラインです。
ハコラボが考える理想としては断熱等級6まで目指しておくと安心です。
無理に断熱等級7を目指す必要はありません。
予算やライフスタイルに合わせて、バランスの取れた設計を考えることのほうが大切です。
そして何より、断熱性能と気密性能をセットで捉えること。
この視点を持つことが、これからの家づくりには欠かせないのです。
まとめ
「断熱等級が高ければ快適な家になる」と思いがちですが、それは半分正解です。
本当に快適で省エネで、1年を通して心地よく暮らせる家にするためには、断熱と気密、この両輪での設計と施工が必要です。
これから家を建てる方、家の性能にこだわりたい方は、どうぞ数字だけに惑わされず、本質的な心地よさをつくる視点を持ってみてください。

この内容をYouTubeでもお話ししています!
→「断熱等級は高ければいいのか?高断熱住宅なのに、寒すぎて建て替える事態にも⁉︎」はこちら
他にも家づくりに関するコラムをあげています!
土地・間取り・設計・暮らしのことまで――
建てる前に知っておくと役立つ内容を、わかりやすくご紹介しています。
→「ZEHが標準となる時代へ環境と家計を守る家づくり」はこちら
→「高性能住宅の本当の価値とは?選ぶ前に確認するべきポイント」はこちら
和歌山で注文住宅を建てるなら岩出市の工務店hacoLab